2012年7月18日水曜日

落語会

何故だか,理学部の職員会が落語会を催していて,しかも,柳家喜多八師匠(とお弟子さんの柳家ろべえさん)がくるというのでいって参りました.なお,落語は,元々,好きなのであって,「じょしらく」人気に乗じて行ってきたのではないことを申し添えておきます.

寄席に通うというほどのことはしたことがないのですが,それでも,高校時分や,学部生の頃は機会を見つけては寄席に行ったり,落語会に行ったりしていましたが,ここ数年は,忙しさや北海道という遠隔地に長くいたことやお財布の寂しさもあって,生で落語をみるということがなかなかありませんでしたので,今回の落語会は,久し振りの生の落語でした.

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会に来ていた客は,自分たちを含めても 20 名ちょぼちょぼというところで,講義室に急ごしらえをした高座の前に並べられた椅子の大半はあいているといったところ.ネタは,前座に東北大の落研の方の「金明竹」,柳家ろべえさんの「子ほめ」「千早振る(改)」,そして喜多八師匠の「あくび指南」,中入りを挟んで,学生の和楽器演奏,トリに喜多八師匠の「癪の合薬」でした.

まず,落研の学生の方.「金明竹」は,代表的な前座話ということで,場を軽くあっためるのにはちょうどいいチョイスで,天狗連の噺にしては良かったと思います.二回目の口上でトチっていたあたりもご愛嬌.


その後に高座に上がったのが,お弟子さんのろべえさん.恐縮にも名前を知らなかったもので,あんまり期待していなかったのですが,とても良かったです.特に,天狗連の学生の席のあとだったので「これがプロの間とキレか!」と妙に好印象を受けてしまったのは否定できませんw でも,本当に良かった.

「子ほめ」は細かくくすぐりを入れてはいたものの正統な古典落語として演じきっていました.噺は下げがちょっと普通と違ったくらいで,基本や所作がしっかりしていて,いい噺でした.そして,続けて演じられたのが「千早振る」の改作でした.これが,とても良かった!ご自身が理系出身ということで「大師匠(の小三治師)に物理を取り入れた落語を」といわれて始めたという噺だそうで,これが本当に良かった(しつこいw).単なる理系ギャグや理系ネタを交えただけではなく,もともとの隠居の超解釈に上手く理系ネタ(を程よく一般化して)盛り込んでいて,最初から最後まで大爆笑でした.もちろん,二つ目ということで,演技にむらは多少あるんだけれど,元気も勢いもリズムもよくって,とても引き込まれました.ファンになってしまいましたw

喜多八師匠のネタは二席ともいうまでもなくいい噺でした.喜多八師匠は,録音を聞いたことしかなく,動く姿をみたのははじめてでしたが,ふらふらとしたまくらからすっと落語に入るキレや,高座の上がり降りの所作,風の扱い,細かな演技が,喜多八師匠のお師匠にあたる小三治師匠にそっくりでした.噺はいうまでもなく「見事」のひとことでした.「あくび指南」の暢気な町人とバカ正直に「あくび」を指南する師匠のバカバカしいやりとりのおかしみがしみじみと良かったです.そして,中入り後の「癪の合薬」は大爆笑でした.こちらは,ハナから笑いの絶えない滑稽話ですが,いちいち可笑しくて,サゲも鮮やかで,すっきり笑いきりました.

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どうやら,5 年前にも春風亭一朝師匠を呼んで落語会があったらしいので,また,落語会をやってくれないかなぁ,と期待しています.

……あ,感想を特に書いていない和楽器演奏ですが,手前の琴の低音の調弦が狂っていたことと,配置の関係で三味線が聞こえなかったことが印象に残っています.押し手の強弱が甘いとか,押す位置がばらけていて微妙に音程ずれているとかは聞かなかったことにしておきたい.