2016年9月21日水曜日

溜まったら出す

最近,全然更新していなかったので,見た映画の感想を上げておく.

「シン・ゴジラ」

ストーリーは面白かった.その点,庵野を見直した.映画としては佳作.60 点.

なにより,「そういう風にしている」ことが分かった上で見ても,特撮と CG がウンコ.自分に特撮オタクの素養が全くないので,そもそも,「そういう風にしている」ことが理解不能で,映画として見た場合,こういう作風の評価ができない.カット割りも時々理解不能で,監督の能力を疑う.いい脚本を演出がゴミにしているという好例.

せっかく野村萬斎を起用してゴジラの動きに特殊性を持ち込んだのに,それを披露する場面が少なすぎること,限られた時間内の配分として,ゴジラの動く時間が短すぎる点がマイナス点.逆に,政治コメディ部分は,稚拙ながらも面白かった.半分役人でもある身からすると,ちゃんちゃらおかしい描写ではあるんだけれど.

この映画で尾頭さんフィーバーが起こったせいで,昔から大ファンだった市川実日子さまを素直に好きだと言いづらくなったけれど,尾頭さんは好き.

※書き忘れていたから追記

石原さとみは殺意を覚えるほど映画において邪魔で,これが何かプラスになると考えて配置した人間はマジで死ねばいいと思った.

「傷」

まぁ.70 点.特に言うことはない.

「君の名は。」

面白くなかったとも言えないけれど,所詮オタク向けアニメ.75 点.数寄屋橋も佐渡も関係なかったし,ヒロインがクソ男に孕まされもしなかった.

クレーター地形とか彗星(男は映画の初めに見てる)とかで早い段階でストーリー展開が読めてしまったのが個人的には残念.あと,最後に二人を会わせているのは,新海が「作家」であることを捨てて売れ線に走ったと強く感じた.とはいえ,「言の葉の庭」見てないんだけれど(「星を追う子供」は本人ですら「狙ってやった」と言っているから除外).

演出的には,過去の「俺の美しい絵を見ろ!」的なドヤ顔カットが減って,まともなカット割りができるようになっていたし,過去にはなかった「カメラワーク」という概念が導入されていて全体的に見やすくなっていた(その辺は膨大な金をかけてスタッフを揃えただけある).

猛烈にヒットしているらしく,公開 3 週目に見たけれど,レイトショーがほぼ満員だったのにはビックリした.しかし,率直な感想としてジブリの二大巨頭を継ぐ才能みたいな評価には唾を吐きかけたいところ.この映画は,根本的に,サブカルとしての量産アニメの歴史から生じた「お約束」な演出の積み重ねでできていて,その「お約束」の外の人間には理解できないという,まぁ,オタク向けのアニメの枠を一歩も出ていない.「ジブリ」という一般的ないわゆるアニメとも実写とも違う,独特の "何か" を作ってしまったあの二大巨匠とは全然違うし,たぶん,アニメとは違う「ジブリ」はあの二人しか作れないのだろう(レッドタートルは見ていないのでわからない).

なんかのネットニュースの記事で,「なんだかよくわからなかったけれど曲とか絵とかで感動した」みたいな感想をこぼす若者を嘲笑したような文章を見かけたけれど,たぶん,「わからない」というのは,真実で,この映画の演出の大部分はサブカル量産アニメの「お約束」や記号を知識として持っていないと全くわからないものだったと思う.ただ,それだけ普段,アニメという文化から離れている子供を観客として動員したという事実と,「わからない」なりに「なんとなく感動した」と言わせた力は十分に高く評価してもいいと思う.

まぁ,そんな感じ.



ちなみに,「聲の形」は,ストーリーの大まかなあらすじを聞くだけで,ゲロ吐きそうなほど不快なので,見る気も起きないです.