2013年9月28日土曜日

もろもろ

もう若くないと思いました.

とうとう 30 歳になりましたとさ.30 歳になったからといって,何かが変わるわけではなく,ただ,連綿と続く時間の中で生きているだけなので,どうもこうもありません.ただ,確実に体力は下り坂にはいったんだなぁ,ということを痛感させられるばかりの日々であります.

取り敢えず,節目の年になると,日本人は,思い出したかのように,孔子の人生についての回顧を引用し始めるものですが,「三十にして立ち」を「30 歳で(研究者として)独り立ちする(自立する)」と読むのであれば,中途半端ではあるものの孔子にはおいていかれていないといえるかも知れません(そもそも,2500 年前の,東アジア全体の根本をなす思想の基礎となった人物の生涯に己をなぞらえるなんてばかばかしいにも程がありますが).まぁ,去年の今頃は,マジで死にかけていたわけですが,諸々の運とタイミングが自分に味方してくれた今となっては,それもまたひとつの道程なのだといえるかも知れません.

なには,ともあれ,向こう 10 年はがむしゃらに生きていこうかと思います.

2013年9月7日土曜日

パヤオ氏の引退とか

まぁ,本当かどうか分かりませんけれどw それこそ,「長編を撮るのをやめるとは言ったが,100 分の中編は撮る」とかいう 2ch のレスにありそうな展開も普通にありそうだと思うわけですが…….

ちょうど前回の日記でもちらっと触れたんですが,僕は,特に宮崎アニメの(内容の)ファンというわけではないので,そういう意味では,特になんという感慨もないわけですが,あの映像を見られなくなるのは残念だな,と思わないではありません(……とはいえ,最早,宮崎駿自身が全盛期の「映像」を作れなくなっているようなので,引退しようがしまいが,そもそも,もう見られないのかも知れませんが).

アニメは,静止画ではなくて動画なので,カメラという概念があって,しかも,それを物理的な制約なく,好き放題に動かせる,ということに凄く執着していたのが日本のアニメの歴史で,かなりの長期に渡って,そのトップランナーだったのが,宮崎駿だったというのは,誰がいう必要もない厳然たる事実だと思います.映画史的にいえば,ハリウッドですら「アニメのカメラ」を真似して撮影技術を磨いたなんてこともありました(代表的でかつあからさまだったのが「マトリックス」ですが).しかし,まぁ,少なくとも,ここ十数年の日本のアニメの映像は,宮崎駿をだいぶ「過去の人」にしていましたし,映像作品の制作の上で最も重要な演出という面では,(特に感情の描き方で)宮崎駿は光っていたわけではないので,淘汰されていくのは当然の時代の流れともいえるでしょう.宮崎アニメは子供向けアニメであったからこそ,人を描く必要なんてなかったわけですし(宮崎アニメの人物って,凄く直線的で魅力に欠けると思うのです.人としての面白みが全くないのです).そういう意味では,彼のアニメ作品はキャラクターが空っぽな萌えアニメに通じるところがあるのだと思うわけです(なんて書くと,怒られそうだけど,そもそも,アニメを「萌え」云々「物語」云々で語ること,区別すること自体がナンセンスだと僕は思うので悪しからず).

それでも,時代がこれだけ宮崎駿を過去の人にしても,なお,新作が封切られると何百万人もが金を払って彼のアニメを見に行くのですから凄いことだと思います.アニメなんてほとんど見ないくせに宮崎アニメだけは見るなんて気持ち悪い人もいるくらいですから,宮崎駿の作り上げた歴史,ジブリというブランドは,心の底から凄いと思います.それはもう,彼が追悼文に悪口を書きつらったくらいその才能に嫉妬していた,手塚と同レベルか,もしかしたら,彼以上に偉大な人物になったのかも知れません.皮肉っぽい書き方になってしまっていますが,まったく皮肉じゃなく,そう思います.

たぶん,手塚治虫と同レベルで畏怖される漫画家が現れないのや黒沢明と同レベルで敬服される映画監督が現れないのと同様に,宮崎駿と同レベルで語られるアニメ監督なんて,未来永劫現れないでしょう.それだけのオリジナルを周知した人であるのは紛れもない事実で,それが終わるというのは,いくら新しい時代がきても寂しいことです.しかし,まぁ,彼の人の場合は,死んだわけでもないので,今後,また,なにか面白いものを見せてくれることを,いまは期待しておくのがいいのかも知れません.