2015年1月12日月曜日

とある名作アニメ

なんとなく連休を使って往年の名作アニメを見た.放映から 15 年以上経過しているのに未だによく名作アニメスレで名前が上がっているやつなので,どんなもんかと.

感想としては,非常に面白くて楽しめたけれど,これは,時代背景とか自分の精神年齢的な意味で,少なくとも本放映時(当時中学生)に見れていたら,もっと楽しめただろうし,もっと印象に残っただろうな,というのが心残り.

高校くらいの頃にオタクな友達に「面白いよ」と勧められたことがあった気がするんだけれど,(当時,まったくアニメに興味がなかったので)全く気にもとめずに見る気も起こさなかったのが悔やまれるような,当時,超映画マニアで典型的な中二病だった僕だと,このアニメを斜に構えて「過去の映画の名シーンのエピゴーネンに満ちたガキ向けの駄作だね」なんて評して黒歴史を重ねていたような……(いまなら,まんま往年の松田優作な主人公のキャラ・姿形とかも微笑ましいし,名作映画のパロディーとかも一歩引いた目線で楽しめるんだけれど…….むしろ,この脚本家,この映画が好きなんだな,とか,このシーンは確かに真似したいくらい格好いいよな,とか,製作陣に共感できる.逆に,それは純粋に楽しめていないということではあるんだけれど……).

たぶん,このアニメの製作陣の意図としては,(この当時は,まだ,アニメのファン層は高く見積もっても中高生主体で,大人でアニメを見ているのは,本当にヤバい人たちという頃だったはずなので)子供たちに,映画とか小説とか(まだメインカルチャーの王道だった頃の)ドラマとかの培ってきた「格好よさ」とか「面白さ」のエントリーとして,より上位のメインカルチャーの深遠な世界に誘う布石であるとか,(当時は低く見られていたであろう)テレビアニメでもこんなものまで出来るんだ,というアピールだったのではないかと思う.

素で聞くと恥ずかしくなるようなベタベタなジャズやブルース,カントリーを基調とした音楽とか,名画からのセリフやモチーフの引用とか,往年の刑事ドラマの世界にしかなかったような安っぽい人情話とか,その辺もエントリーモデルとしては秀逸で,少なくとも 20 世紀末にはすでに古くさいはずなんだけれど(アニメでも,もっと古い時期に作られているルパンなんかはこの辺を意図しているし),当時の初心な子供たちにはすごい衝撃だったであろうことは想像に難くない.惜しむらくは,たぶん,その当時,衝撃を受けたであろうアニメオタクだった中高生のほとんどは,このアニメで元ネタになった名画の世界などに進出せずに,このアニメでここまで出来るということに高止まりを起こしてアニメオタクをこじらせていってしまったことだろう(逆に,映画マニアとか本来なら映画の世界に行くはずだった人材の多くがアニメの世界に流れ込んで,いまのアニメの趨勢の基礎を築いたエポックメイキングな作品のひとつにもなったのだろうとは思うけれど).

ちなみに,見たのは(流石に分かると思うけれど)「カウボーイ・ビバップ」です.