2015年3月3日火曜日

別段大学だけが閉鎖的で不思議なわけではない

某所で「某公立大学では名刺を自腹で作らなきゃいけないなんて不思議だ.こんな慣習はここだけだ(意訳)」という記事を見かけたが,(最近は組織にもよるみたいだけれど)公務員(準公務員,元々公務員だった職業)は基本的に名刺は自腹なものだと複数ルートから聞いた(実際,そういう立場の人の名刺は明らかに自作なものが多いし,それはそれでオリジナリティーがあって面白かったりもする).もちろん,僕の所属組織もその例には漏れない.変だとは思うけれど,まぁ,ルールはルールで仕方がないことなので,僕も自分の名刺は自宅でしこしこと刷っている.もちろん,「自腹」という言葉の範疇には諸々入るようだけれど(例えば,大学とかだと外部資金なら OK とかそういう話は聞いたことがある).

ところで,この名刺にまつわるルールの件なんだけれど,本当かどうかは知らないけれど,もともと「役人は基本的に名刺を配ってはいけない(持ってはいけない)」というルールがあったせいだといわれている.しかし,役人であっても名刺が必要になる場面もある時代になった結果,「(税金であるところの)公金を使って名刺をバラまくのはダメだけれど,個人が勝手に作って撒く分には黙認する」となり,更にそれが転じて「名刺は自腹で用意しなければならない」というルールになったということらしい.この世間の常識からの遅れっぷりをみると,役人でも公費で名刺を作っていいというルールになるころには,名刺交換の文化自体が薄れている時代になっている気がする.

元々の「名刺を配っちゃダメ」というルールの起源についてもはっきりしたことは分からないけれど,「身分や役職(=仕事内容)が外部に知られることを防ぐ(賄賂とか不正の防止)」とか,「昔の役人は『お役人さま』だったから自ら名刺を配るという行為は必要なかった」とか,「税金で私物(名刺=個人の名前が入った公共性がないもの)を作ってはいけなかったから」とか,「公僕に名刺は必要ない」とか,「公務員の無名性に名刺文化はなじまないから」とか,いろいろ聞いた.

そういうわけがあるので,我々は名刺を積極的に配りたがらないことも多いんですが,常識がないんじゃなくて「身銭を切りたくない」だけなので,怒らないで下さい(笑).

--

ちなみに,僕は親が公務員だった上に,自身も一般の職場といわれる場所に身を置いたことがないから本気で分からないんだけれど,名刺が会社から支給されるっていうのは,実際のところ,どのくらい常識的なことなんでしょう?それなりの規模の一般会社の人でも自作っぽい名刺を配っていることもあるので……(自作でも名刺用紙は会社負担とかなのかもしれないけれど).