2013年6月16日日曜日

不思議

近年,SNS なんかが発展して,国民総オナニー日記公開時代というか,感情垂れ流し時代というか,とにかく,(僕のような)なんでもない普通の人が逐次に(躊躇なく?),感情とか,行動とか,そういうものを人の目に触れる形で発信することが容易になってきている時代になっていると思います.そういう事象を指して,Web の空間がリアルに近付いたとか,ユビキタスな世界が云々とかいう論評が,最早,陳腐になっているくらい繰り返されてきているくらいには,SNS やそれに付随するリアルの延長としての web 空間というものが一般化されているようです.しかし,そういう時代・風潮の是非はともかく(そんなツールを利用して身バレ上等でオナニー日記を公開している時点で否定的なわけがないんですが),世の中って,web 以前の世界で,こんなに開けっぴろげだったかなぁ,と少々疑問に思うことがあるわけです.

リアルの延長としての web 空間って,匿名であることが当たり前だったちょっと前の web の世界と違って,ある程度のリアルの繋がり(友人とか,同窓生とか,旅先で仲良くなった人とか)を,コミュニケーションの便利な web 上に移したという性格が確実にあるわけで,実際,多くの人がリアルの知人と SNS を通して繋がっているのが現状だと思います.

でも,SNS 上では,「リアルの世界で,人ってそんなに正直に情報を公開したりしないよね」というレベルの情報を撒き散らしている例って珍しくないと思うわけです(例えば,SNS がなければ,ほとんど繋がりのない同窓生が,昨日何食ったかなんて知るすべもないわけで).これは,SNS を通して,リアルの付き合いでは見えるはずがなかったものが確実に浮き上がっている,ということではないかと思うのです(卑近な例を挙げるなら,高校生が「酒飲んだー」なんて世界に公開しちゃって,2 ちゃんねらーのおもちゃになる,みたいな).

こういう風に発信された結果,見えるようになった情報が,外面の情報(飯食ったとか,どこで遊んだとか)だったら,特に気にすることもないんですが,ともすると,内面的な情報,というか感情の発露までも開けっぴろげに公開されていることすらあって,ビックリすることがあります.他者に対する悪感情とか,それって表に出していいものなのというような情報まで可視化されている世界というのは,面白くもあり,不可思議な世界だな,と思うわけです.だって,リアルでは,仲が良かった友人が悪感情を振りまく姿なんて,ほとんど接する機会なかったですし.

これが,SNS 社会が可視化した,新たなコミュニケーションか!

……とかいうことが書きたかったわけではなく…….


そんなわけで,SNS のうえで,他人に対して発する呪詛や悪意や敵意のようなものが撒き散らされているのを見ると,なんというか,「元気だなぁ」とか「エネルギーに満ちあふれているなぁ」とか思ってしまうわけです.……というか,今まで見えていなかったから,全然知りようもなかったのですが,世の中の人って,こんなに,外に対して感情を発露させて生きていたのか,という部分に凄く驚きました.


僕は,基本的に,周囲の物事に感覚的にではなく触覚的に鈍いのか,そもそも自己中心的かつ自己完結的な性格から,他者に興味を持つことがないからなのか,他者や他者との関係に腐心することがほぼありません.逆に言うと,自分が他者にどう思われているかなんて気にすることがあんまりないので,本気で他者との関係に感情を爆発させることができるっていうヒューマニティーに驚きました.人間は感情的生物なんて空想の世界の産物だと思っていましたよ……ええ…….

にんげんってふしぎ!