……で,何故にエーレンベルクに関して長々と語ったのかというと,つい先日,某先生からエーレンベルクの図版(のみ)を見せられて,「この絵から現在の基準で種名分かる?」という無理難題をふっかけられたことで,エーレンベルクに触れたからです(詳しくはこちら).
エーレンベルク(の記載)自体は,僕の専門である渦鞭毛藻および渦鞭毛藻シスト化石の最初期の原記載者としてよく出てくる名前なのですが(記載する個体の原記載がエーレンベルクという状況),今回みたいにエーレンベルクのスケッチに描かれている個体を,そのスケッチのみから同定するというのははじめての経験だったので(というか,普通にあり得ないw),ちょっと印象に残ったのでした.
大まかな外形からエーレンベルクが Peridinium 属として記載しているであろうこと,僕の知る限り Plate 配置と外形とエーレンベルクの記載した種がどういう扱いになってるかという知識から Palaeoperidinium 属にあたりをつけて,記載を総当たりしたら思いのほか早く種名を特定できたので,仕事としてはかなり楽な部類でしたが……(とはいえ,dorsal side のみしか描かれていない,分類に重要な archeopyle が不明瞭,そもそもスケッチが逆さまなんて代物でしたが).
ちょっと驚いたのが,エーレンベルクのスケッチの正確性.素朴ゆえに確実に見たものをそのまま描いている感じが素敵でした.
ちなみに,このお仕事のお礼はその先生がエーレンベルクのコレクションの再検討プロジェクトに関わったときに作ったモノグラフでした.普通に過剰報酬でありがたかったw