2015年10月14日水曜日

ありあじあっゔぇにーれ

公開初日に観に行っていたんだけれど,感想を書くのを忘れていた.

「ARIA the Avvenire」

とにかく,完全な,僕らの望んだ「ARIA」そのもので,素晴らしかった.新人 3 人組とか出てくるんだけれど,「ARIA」は,アリシアさんと灯里ちゃんの物語である,ということがブレていなくて,すごく良かった.特に,アリシアさんの物語が丁寧に描かれていたのが良かった.

個人的には,思い入れを注ぎ込みにくい新人 3 人組に時間が割かれた分,灯里,藍華,アリスの 3 人組の絡みが少なかったのと,本当にどうしようもなく,仕方がないんだけれど,僕の愛するアテナ先輩がいつものボケボケな状態でみんなと絡んでいるところが見られなかったところが,本当に残念だった.川上とも子ロイドでもいいし,それどころか,しゃべらなくても,書き下ろし原作漫画に登場しているシーンでは登場させて欲しかったな.描かれなかったのが悲しい.ただ,アテナ先輩の長髪はちょっと(苦笑).

でも,回想シーンだけでも,川上とも子さんの声でアテナ先輩が喋ってくれたのと,録音だけれど河合英里さんの歌声が流れたのは,泣けた.

あと,一瞬だけれど,アルくんと暁さん,郵便屋さん,カフェ・フロリアンのオーナーまで出ていたのにウッディーさんが出ていなかったのはかわいそうだと思った(笑).いや,もしかしたら,どこかで一瞬だけ出ていたのを見逃したのかもしれないけれど.

2015年9月25日金曜日

すたっぷ

最終的な報告がなされたようなので備忘として記録しておく.しかし,こういう報告が論文誌に(しかも,Nature に)載るという事実が,この事件の傷跡の深さを象徴しているようだ.

この段階にきて,改めて思うのは,結果論から遡る以外に,あの事件をどうやったら未遂に終わらせることができたのか,という点が,今後,重要になってくるのだろう,ということ.今回は,蓋を開けてみたら,あまりにも杜撰な状態が明らかになったから解決の上でよかったようなものの,もし,これが巧妙に仕組まれていたとすると,科学哲学的な意味での性善説のようなものは崩壊していくしかないのかもしれない.

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こうならべると,自分,結構,この関連の記事書いてたんだな…….まぁ,サイエンスの隅っこにいる人間として,この件に関心をもたないとか無理だしな.

2015年9月24日木曜日

「心が叫びたがっているんだ」感想

長井監督(+まろり+田中さん)の最新作.「あの花」のメンバーが再結集という売りなんだけれど,個人的には「とらドラ!」の三人組(「あの花」は嫌いじゃなかったけれど,媚びすぎというか,わかりやすすぎというか,なんとなくダメなところが見え隠れするので).

というわけで,感想(ネタバレ含む,というか,見てないと意味不明かと).

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単純に面白かった.確かに,満点の出来ではないけれど,単に佳作というよりは,良作として評価したいくらいの面白さ.名作ではないんだけれど.

全編を通して,とにかく,長井監督の絵作りが天才的に上手くて,カットの数々を眺めているだけで楽しいとう感じ.長井監督の切るコンテの特徴として,画面の中の人物の配置の取り方が際立つけれど,単純なカメラの動かし方とかも綺麗で,本当に才能を感じる.あと,やっぱり,この人のコンテは,過剰演技気味と言われることもあるけれど,表情豊かな演技をさせるから好き.特に,今作の場合,誰が誰にどういう思いを抱いているのかをセリフよりも絵で,丁寧に,上手く表現できていたところが良かった(順は坂上に顔を赤らめているシーンがあるけれど,坂上が順に顔を赤らめているシーンはほぼない,とか).

ストーリーに関しては,とにかく,「幼い女の子が憧れている山の上のお城がラブホテルでそこから不倫中の父親登場」という強烈なイントロが素晴らしかった.この辺,まろりと長井監督が(たぶん)大好きな「無自覚と無知の生む悪意」そのもので,とても良かった.ストーリー全体は,担任のいう「ミュージカルには奇跡がつきもの」というセリフが象徴するようにありきたりなベタな奇跡に満ちている青春ものなんだけれど,それでいい,という感じ.いや,それでこそ,といったほうがいいかな.とにかく,坂上が順を選ばないラストは,日和らずによく描き切った,と褒めてやりたい(最初から最後まで坂上から順に何かを思っている描写がない.逆に仁藤を気にしてる描写は多い).まろり分が薄くて,もう少し切れ味欲しかったとも思ったけれどw

ストーリーで少し残念なのが,仁藤が良い子で,可愛すぎたところかな,と.彼女は,もっと,暗黒面に落ちて良かったと思う.可愛いし,病み方が優等生すぎた.あと,田崎が三枚目の良いキャラで良かった.最後の告白宣言も田崎のキャラが良かったから,あんまり蛇足感がなかった気がする(ちゃんとファミレスのシーンで好意を抱き始めるきっかけも描かれていたし).恋愛関連も,2 時間の映画でよく詰め込んだ,という感じ(坂上・仁藤に関しては,「以前付き合っていたけど自然消滅した」という言葉で観覧者に想像させる手法だったけれど,順と田崎については丁寧だった).特に,順の恋愛も行動理念も,人との関わりを積極的に断ち続けた結果として,精神的に幼い部分が残酷なまでにエグく描かれているところは,さすがまろり先生.

ネットでは,true tears(アニメ)にストーリーが似ていたみたいな評があるけれど,違うね,と(似ていないとは言わないけれど).作中,坂上は,一度たりとも順に惹かれていないし(ここが重要),そもそも,この話は,順(乃絵に相当)の視点で描かれている.そして,本質的に恋愛が主題ではないところが根本的に違う(今作において,恋愛の方向性は軸がぶれていない,誰が誰に選ばれてどうなるのかは,物語の始めから終わりまでぶれていない).むしろ,"青春の向こう脛" を蹴られて痛くなってしまったのは,恋愛のせいではなくて「卵」に象徴される「言葉にしない」という各人の心の問題で,恋愛がらみのドロドロではない.

ストーリーの類似度で言えば,むしろ,三人組の前作である「あの花」のほうが高くて,「卵(キャラ)」を「めんま(青春のもたらした幻覚)」に置き換えると,ストーリーが「あの花」の主軸と同じことがよくわかる.違うのは,「あの花」では,みんなが「めんま」の存在を認めることで,わだかまりが解消したのに対して,「ここさけ」では「卵」の存在をみんなで否定する(=それは自分の生み出した幻影と認める)ことで,風が通るようになったというところくらいか.

あと,個人的には,「家族愛(笑)」なスタンスが非常によかった.「家族」には「無償の愛」があるとか糞食らえだよね.クソみたいな家族は実在するし,それは,事実として無視してはいけないのだ.ラスト近く,順の母親が順を見直す部分は,ストーリーの都合上仕方がないとはいえ,アレもなくてよかったくらい.絶対的な正義みたいな薄っぺらい「家族愛」しかテーマを作れないクソみたいな無能アニメ映画監督とは大違い.細田のことだけど.

細かいところだと,思春期に特有のダサい空気の作り方は,やっぱり上手いな,と思った.「青春の向こう脛」とか,担任に変なあだ名をつけているところとか,行事を略称(振れ交)で呼んでたりするところとか,ラブホという存在の扱い方とか(=性行為という恋愛のリアルとの距離感の取り方).

まぁ,そんなこんなで,面白かったので,見てない人にはオススメしておきます.少なくとも,「あの花」よりは面白いです.「とらドラ!」には勝てないかもしれないけれど.あれは,ちょっと別格すぎて…….

長井監督に今後も長編アニメを作るためのスポンサーがつきますように.細田なんかに金を出している人は,長井監督に金を出すようになればいいのに.

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やっぱり,好きだったものを褒める文章を書くのは苦手.

2015年8月10日月曜日

ジュラシックワールド

見てきた.ただ単純に面白かった.あと,いまの CG の技術ってすごいなと思った.なにより,アニマトロニクスを使っているシーンよりも CG のほうが画面に馴染んでいるのがびっくりした.

いくら名作とはいえ,映画についてはジュラシックパークの第一作から今作まで,所詮は SF パニック映画なので,ストーリーとかそういうものに突っ込むのは野暮.とにかく,恐竜が動いて,戦って,恐ろしいというところが守られていれば全てオーケーなのだ.

個人的には,(異常に巨大な)海トカゲさんが美味しいとこを全部持っていくところとか,ジュラシックパーク時代の遺物が出てきたりするところとか(小物とか音楽とか),ティラノサウルスとインドミナスがバトルしているところにラプトルがピョコピョコ飛び回るシーンとかが良かった.残念だったのは,イカした(イカれた?)古生物学者が登場しなかったところ.本筋に絡まなくても,アラン・グラントは出してほしかったなぁ.

あと,ジュラシックなのに,クレタの恐竜ばっかりなのは,いつもながらもにょもにょする.クレテイシャスワールドではいかんのか?

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さて,ここで問題です.ジュラシックパークで古生物に目覚めて,いま,古生物学者になってこの映画を見ている人は何人くらいいるでしょう?ちなみに,私は違います.

2015年6月22日月曜日

ラブライブ!の映画

なんとなく暇なタイミングで,上映期間中に映画をやっていることを思い出してしまったことと,なんとなく,見ておかないと気持ち悪い感覚が残りそうだったので見てきた(または,見てきてしまった).

内容に関しては,まぁ,「内容が無いよう!」という以上の感想は無い.面白いとか面白くないとか,言及する次元の話ではないのだと思う(別に悪い意味ではなく).美少女動物園の PV として限りなく "間違っていない" 作りだった.そして,凛ちゃんかわいい.

同様の美少女動物園系に数えられる「けいおん!」の映画が,本編(原作+TV 放映)にできた空白をスッポリ埋めることで物語を過不足なく完成させたのに対して,完全に放映時に終わらせてしまったラブライブの物語に,約 2 時間分の映画を作ってなお,本編のラスト以上に "何物も加えない" というミラクルをかましてくれたのは,ある意味,尊敬できるレベル.ちょっと花田十輝を見直しそうになったw(参考: http://mad-bass-laughing.blogspot.jp/2015/06/blog-post_9.html

とにかく,本編であれだけ熱く「μ's は 3 年生の卒業とともに終わる」とかいっていたのをほじくり返すとか「イミワカンナイ!(カミノケクルクルー)」や卒業式から何日経ってんだよ!的なツッコミをしたら負けということがわかった.あと,「突然歌うよ!」なミュージカル的なノリと演出は嫌いじゃなかった.

とにかく,凛ちゃんかわいい.

2015年5月16日土曜日

やっぱり,いい

志村貴子まつり感想.

「淡島百景」 1

短編連作で歴史を紡ぐ系.だいぶ,マイルドに描いているけれど少女同士のエグい話をサラッと描いちゃうあたりがさすが.2 話と 3 話が良かった.藤ヶ谷が出てきたりしたのは「ちょっと」と思ったけれど,バス停さんの裏側は良かった.バス停さんが,あーちゃんがお気に入りだった理由がわかった気がする.

本当に,志村貴子は「嫌な奴」を書かせると天才.

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「娘の家出」 2

なんか,トーンダウン.変な人間しか出てこないのが,なんかダメなんだな.「青い花」でも,「放浪息子」でも,自分が他人と違うとか,世界から拒絶されるとか,そういう感覚が緊張感を生み出していたけれど,みんなが呆気らかんと現状を認めてしまう世界というのは,やっぱり,なんか違う気がする.

ナンバー 11, 12 のニート姉妹は良かった.

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「わがままちえちゃん」

一冊完結.短くまとまっていて良かった.あと,読みながら,さおりんが彼氏と出会わずにやけっぱちのまま高校生になったらこんな感じで自暴自棄になるんじゃないかなと思いながら読んでいたら,作者あとがきで作者もさおりんとの親和性を感じていたようで…….

エンコー少女になったくらいのところまではピンボケしていてよくわからなかったけれど,利根川さんが出てきてから徐々に焦点が合ってきて,オチは良かった.

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「こいいじ」は試し読みだけして,ちょっと面白そうと思ってしまったので,今度買おうかと思っている.

2015年5月14日木曜日

国立大学ってなんだっけ?

国立大学の学費を私立大学並みに上げるとか,そういう議論.ここまで愚かな議論を久しぶりに見た感じ.

僕の入学した頃(2002 年)の国立大学の学費が,ぎりぎり 50 万円いかないくらいだったと思うけれど,それでも(国立大に受かったことで金銭面で安心しきっていた)両親が度肝を抜かれる程度に高いという印象だった(両親の世代だと国立大学の学費は,もろもろ込みで 5 万円以下).いまは,更に上がっていて,54 万円くらいだ(つい 4 年前まで払っていたから詳しいのだ).公立高校が無償化されたことを考えれば,ここから更に学費を上げるというのは暴挙に近い.

国立大学に行けば,たとえ大学まで行ったとしても,学費の面で親孝行という時代は遠くなってしまっている.これ以上,学費が上がると,はっきり言って,金銭的な問題から進学を断念しなければならないという例が,かなり顕在化してくるに違いない(いまですら珍しい話でもないのに).ちなみに,こういう話になると出てくる,「バイトで学費を稼げ」とかいう妄言は,学生の本分からも,稼がねばならない金額の大きさからも,ナンセンス極まりない.大抵,こういうバカなことを抜かすのは,国立大学の学費が当時の物価水準を考えてもタダみたいに安かった,現在 50 代後半以上の世代だ.おっさんどもの世代は,バイトで補うなんて芸当が(楽に)可能な金額の時代だっただけだ.というか,いま,58 歳の世代まで国立大学の(入学時の)授業料って,36,000 円だったんだぜ?年額だよ?桁を間違えているわけじゃないよ?いまの若者には到底信じられないような話だけれどさ.

※なんで,学費の変遷に詳しいかというと,いま 60 歳くらいの世代のとあるおっさんに「俺たちが学生の頃は学費はバイトで補っていた.いまの若者は……」云々とご高説を垂れられて,(その場で調べた学費の変遷を見せながら)ブチ切れたことがあるからだ.

学問でもなんでもそうなんだけれど,機会だけは均等でなければならないと思うんだ(なお,この言説で最も重要な部分である "機会だけ" を抜かすとバカサヨになる).少なくとも,(今回の議論で話題になっている)私立大学に近い水準なんていう学費になったら,上流とはいわないけれど,中流の中では裕福なほうだった僕の親父の稼ぎでも,兄妹そろって大学進学させるような学費は賄えてなかったんじゃないかと思う.(まだいないけど)自分の子供が大学進学する時に,そんな学費だったらとか想像すると,すでに生涯賃金曲線がわかっている身の上ゆえ,ゾッとする.馬鹿げた話すぎて,失笑も出ない.

しかも,この議論の発端が財務省からだって言うんだから,へそで茶がわくね.しかも,その発想をした理由が,もう……(あまりにも馬鹿らしすぎて書く気も起きませんので,ニュースなりなんなり見てください).

国立大学って,なんだったっけ?あ,いまは国立大学法人か.まぁ,どっちでもいいんだけれど.