これは,アニメを先に見ていて正解だったかな.アニメも,もちろん,面白かったし,その評価を下げるつもりはないけれど,小説の綺麗な 4 話構成を知ってから見ていたとしたら,ちょっと冗長に感じていたかも知れない.
あと,アニメでは,毎回,明石さんに「最後のひと言」がいえずに時計台に吸い込まれて行くけれど,それって「全ての四畳半が等しく人並みに恵まれた青春」ではないことになるから(もちろん,そのもどかしさが最終話の「猫ラーメンを食べに行きませんか?」の大団円につながる演出を否定する気はない),四畳半世界にどうしても不均衡が生じるし,小説の「自身の可能性を規定するのは自身のもつ不可能性である」を受け入れるエンディングの意図を若干ぼやけさせてしまっている気がする(明石さんと結ばれる「最良」の選択をしたように見えちゃう).
くわえて,これはアニメにして動かす以上,どうしようもないことかも知れないけれど,絵と声に規制されない「明石さん」はどこまでも魅力的だった(「四畳半の甘い生活」の「お勧めされた『海底二万里』も読みましたよ」というセリフの破壊力はすごい).